story

私には宝物がある。一冊の手描きの絵本。
それは私がまだおとぎ話に夢見る頃、家族全員でドイツへ行った時に出会った、 一人の売れない絵本作家からのプレゼント。
まだ完成していない、途中で終わってしまっている絵本。

「君が大人になったら、またおいで。その時は僕も有名になっているよ。そうしたら、その絵本の続きを一緒につくろう」

しかし数年後、その約束を果たすことなく、彼は病にかかって命を落としてしまった。
私は嘆き悲しみ、彼との思い出と形見であるその絵本をずっと大切にしようと心に誓った。

……そして月日は流れ、高校生二年生になった私の前になんと彼が現れたのだ。

「こんな姿でごめんね。遅くなってしまったが、約束を果たしにきたよ」

私との約束を守れず絵本が完成しないことを嘆き、その想いの強さから魂だけの姿となって現実世界にとどまることを許されたという。
さらに、新たな生活が始まると予感していた高校二年生の始業式。
絵本作家の幽霊出現だけではなく、絵本に出てくる“王子さま”を名乗る、不思議な転校生が付き人を連れてやってきたのだ。
王子さまは完成しない絵本の中で、ずっとお姫さまと結ばれずに過ごすのが寂しくなり、お姫さまに想いを伝えるため、とうとう絵本の世界を飛びだしたという。
2人の転校生に続き数日後、王子さまに恋心を寄せる絵本の中の登場人物である美少女が転校してきたりと、
絵本の中の登場人物が現実世界へ来れたのは、魂になって現れた絵本作家の不思議な力のせいらしい。

そして私は、「絵本を完成させたい」という絵本作家の願いを聞き、絵本の完成を目指すことに。 ただし魂の姿となってしまった絵本作家は普通の絵の具や筆を扱うことができず<魔法の絵の具>を集めることになる。 

……果たして絵本を完成させることはできるのか?私の新学期は波乱の幕開けを迎えたのだった。